ケーララの音楽と舞踊

ケーララの芸能

◆ケーララにはどんな芸能がある?

 

クーリヤッタム(Kuitiyattam/古典劇)

モヒニヤッタム(Mohiniyattam/古典舞踊)

ティルワーティラカリ(Thiruvathirakali/民俗舞踊)

カタカリ(Kathakali/舞踊劇)

トゥラル(Thullal)

テイヤム(Teyyam/儀礼芸能)

ムディエットゥ(Mudiyettu/儀礼芸能)

パダヤニ(Padayani/儀礼芸能)

パンチャワーディヤム(Panchavadyam/打楽器合奏)

ターヤンバカ(thayambaka/打楽器演奏)

ソーパーナサンギータ(SopanaSangeetha/伝統声楽)

などなど 

 

 

◆南インドの古典劇 

 

クーリヤッタム  (kutiyattam/koodiyattam)

「クーリヤッタム」は南インド・ケーララ州に伝わるサンスクリット古典劇です。ユネスコ世界無形文化遺産にも制定されています。

サンスクリット語の台詞は独特の節回しで謡われます。また演じ手は、目や顔の表情、ムドラといわれるハンドジェスチャーを駆使して、時にはいろいろな登場人物を演じ分けながら、情景を描いていきます。

壺型太鼓「ミラーヴ」の音色とともに、神々の世界へと誘います。

 

ナンギャールクートゥ(Nagiarkoothu)

「ナンギャ-ルクートゥ」は女優の演じる1人芝居で、クーリヤッタムの姉妹芸能です。演じられる内容はヴィシュヌ神の化身としてこの世に生まれて牛飼いの村で育ち、笛の名手として親しまれているクリシュナ神(SreeKrishna)に関わる物語です。

クーリヤッタムで使われる拍子(thalam)

 

Triputa, Murukkiya Triputa, Eka, Vidushakante Eka, Adantaなど

◆演奏する楽器

 

ミラーヴ (Mizhavu)

「ミラーヴ」はクーリヤッタムに欠かせない伴奏打楽器です。聖なる楽器と呼ばれ、人間が産み出したのではなく、自ら自然に生まれでた楽器とされています。 クーリヤッタムでは、最初にこの太鼓が鳴り響くと、開演の知らせとなり、劇を観るために、天界、地上,地下界から様々なものたちが集まってくるといわれています。

 壷の形をした大きな胴は銅製です。昔は陶器製でした。寺院の中に置かれていて、運ぶことがありませんでしたが,近代になり寺院の外で公演されるようになって、銅製のものに変わりました。直径20cm程度の壷の口の部分に、牛皮を張り、素手でたたきます。

 演劇の伴奏のために発達した楽器で、繊細な感情の機微を表すことも、非常に荒々しい強さを表すこともできる楽器です。近年ではミラーヴを使った太鼓だけの合奏も盛んになっています。

 

イダッキャ (Edakka/Idakka)

「イダッキャ」は旋律を奏でることのできるユニークな太鼓です。日本の小鼓のような形をしていますが、肩から吊るして右手に持ったバチでたたきます。

2枚の皮を張っている紐と肩から吊るす紐が連動するようになっていて、左手で胴を上下させることで音程を変化させます。また、胴の口の部分にはヤシからとった繊維が両面とも2本ずつ張られていて、それがさわりとなり、「じりり」という独特の響きが生まれます。

 

 聖なる楽器と呼ばれ、寺院の中で儀礼のときには、この太鼓を演奏しながら歌を歌います。 「ソーパーナ・サンギータ」と呼ばれる、ケーララ独特の声楽はこの歌から来ています。                       (文:入野智江ターラ)

◆プロフィール

 

入野智江ターラ

1994年より南インド・ケーララ州をたびたび訪れ故グル・アマヌール・マーダヴァ・チャーキャールのもとで、サンスクリット古典劇の研鑽に励む。インドと日本で公演を行っている。伴奏打楽器ミラーヴの演奏と普及にも力を入れる。南インドの伝統打楽器ムリダンガムやイダッキャなども演奏する。「アビナヤラボ」主宰。

オリジナル竹楽器のグループ「東京楽竹団」の創立メンバー。

JML音楽研究所、南インド芸能クラス講師。

 

岩田豊美

2010年より、入野智江ターラ氏のもとで、南インドの壺型太鼓ミラーヴ、およびインド古典劇クーリヤッタムを学ぶ。ケーララで、G.ヴェーヌ氏にナヴァラサ、ウシャ・ナンギャール氏にナンギャールクートゥ、V.K.K.ハリハラン氏にミラーヴを師事。2018年1月、ケーララのミラーヴカラリにてナンギャールクートゥの初舞台(アランゲッタム)を踏む。

 

アビナヤラボWebサイト

 

http://abhinayalabo.strikingly.com/


Impressions

ギャラリーオアシス FBページより

 

2月の世界音楽紀行ではケーララの音楽と踊りを開催致しました。
足を運んでくださった皆様、ありがとうございました!

ケーララの音楽では、使う楽器は、全て打楽器!
ミラーブと呼ばれるツボに牛の皮を張った楽器は楽譜の代わりに言葉による決まったリズムがあるらしく、遠くまで響く乾いた音が印象的でした。
踊りにも言葉が深くかかわっているそうで、手の動き一つ一つに「白鳥の翼、旗」などの意味があり、物語に沿って手や体、眉や目の表情による演技に物語の登場人物の繊細な心の変化が見て取れ、引き込まれました。

 

もっと見たい!!と感じた、あっという間の2時間でした。
奏者の入野さん、岩田さん、貴重な音楽と舞踊劇をご披露くださり、ありがとうございました。