現存する世界最古のワールドミュージックオーケストラ

1200年前に唐の都長安で世界中の楽器を集めたワールドミュージックオーケストラが誕生、この音楽がはるばる日本に伝わり、閉ざされた宮廷文化の中で独自の発展を遂げてきました。

Profile

篳篥 三國晴子(みくに はるこ)

東京外国語大学卒業。

篳篥を故東儀兼彦氏、西原祐二氏、左舞を東儀雅季氏、小原完基氏、琵琶を上明彦氏に師事。

「日本雅楽会」会員、及び現代邦楽演奏集団「織座」所属。「伶楽舎」の演奏会に助演として参加。

2014年、「冨田勲の世界」にて、同氏作曲の「源氏物語幻想交響絵巻(完全版)」にソリストとして参加。2016年、東京とニューヨークで創作される音楽を祝うコンサートシリーズ、「Tokyo to New York」 にてクラリネット&篳篥のThomas PIERCY、篳篥の中村仁美とJohn CAGEの「龍安寺」にて共演。

津軽三味線の松原ひろ子とパーカッションのMarcos Fernandesとの即興演奏トリオや、スリーピース雅楽バンド「ががくのじかん」によるライブ活動も行っている。

 

 

龍笛 〆野護元(しめの もりゆき)

大分県出身。11歳の時に龍笛を始める。

これまでに横笛演奏を芝祐靖、上研司、岩波孝昌、笹本武志の各氏に師事。

東京藝術大学音楽学部邦楽科雅楽専攻にて、横笛、左舞、古代歌謡、琵琶、鼓類などを修め卒業

芸大在学中に安宅賞、卒業時にアカンサス音楽賞、同声会新人賞の各賞を受賞。

雅楽演奏団体「伶楽舎」所属。

 

 

笙 大塚惇平(おおつか じゅんぺい)

ヴォイスパフォーマンスの活動を通して笙の響きの世界と出会う。

早稲田大学第一文学部卒業。音楽文化論を小沼純一氏に師事。東京藝術大学音楽学部邦楽科雅楽専攻卒業。現在、笙、右舞、歌物を豊英秋氏(元宮内庁式部職楽部首席楽長)に師事。雅楽古典の演奏・研究をベースにしつつ、現代音楽や即興演奏、他ジャンルとの交流を積極的に行う。

近年の主な共演者には齋藤徹(コントラバス)ジャン・サスポータス(ダンス)平山素子(ダンス)川井郁子(ヴァイオリン)佐藤公哉(表現 hyogen)蔡怜雄(トンバク、ダフ)などがいる。

また、日中韓芸術祭(2015)、信濃の国 原始感覚美術祭(2014 2016)、目白庭園 秋の庭園ライトアップ「大塚惇平 雅楽コンサート」(2016DOMMUNEAkiko Nakayama curation 液体図鑑 vol.1(2017) 他、都内コンサートホール、アートスペースでの演奏や学校公演他、屋久島 益救神社、丹生都比売神社、高麗神社、深大寺等の寺社にての奏楽奉仕等、精力的に演奏活動を行っている。よみうりカルチャーセンター講師。

 

http://ohtsukajumpei.com

雅楽について

 雅楽は1200年以上の歴史を持ち、日本の古典音楽として、また世界の古典音楽として外国でも非常に高く評価されてきています。

 雅楽は、日本古来の儀式音楽や舞踊などと、仏教伝来の飛鳥時代から平安時代初めにかけての400年間あまりの間に、中国大陸や朝鮮半島から伝えられた音楽や舞、そして平安時代に日本独自の様式に整えられた音楽などです。

 

 奈良時代・平安時代から、雅楽の演奏は宮廷は勿論、寺院や神社において盛んに演奏されました。途中断絶の危機を越えつつ1000年以上、京都・奈良・大阪の専門の演奏家によって伝承され続けました。明治時代に宮内庁式部職楽部が創設され雅楽を伝承しています。最近は、民間の雅楽の演奏団体も増えてきています。

 

【演奏曲目】

一、平調音取~越天楽

 

ニ、壱越調音取~胡飲酒序破

 

三、朗詠 嘉辰

 

四、藤枝守 植物文様 笙独奏曲 

 

五、黄鐘調音取~荒城の月

 

六、東儀秀樹 弓月

 

 

七、双調調子音取~舞立 春庭楽


Impressions

 

生の雅楽演奏をこんな間近で体験する機会はなかなかないとのことで、リピーターの方々だけでなく、新しいお客様もたくさん見えられたとのこと。実に50人近くの方が駆けつけてくださいました。本来屋外で演奏される雅楽の笛の音は、音色はたおやかなのに、鼓膜をビリビリ揺さぶる大音量。笙ですらバーンスリーの音よりずっと大きいのです。常連のお母さんからは、演者の皆さんが若くて美しいことにとても驚いた、とのお言葉。一番若い〆野さんは大分で11歳の頃から龍笛を吹いていたそうで、近所の神社の神主さんにもらったという300歳以上の江戸時代の龍笛を今日は吹いていると。ふわっと時空を超えるお話に軽く眩惑。
笙の音色は天から差し込む光、龍の笛が天と地を結び、篳篥は大地の音色と言われているそう。なるほどなイメージ。春の音色、冬の音色。川のせせらぎや木漏れ日を楽しむようにこの音色を楽しんでほしいと。雅な装束と相まって、まさにタイムトリップしたようなひと時でした。