小谷野哲郎(バリ仮面舞踊家、役者)
1970年東京生まれ。現在岡山県勝山在住。
東海大学音楽学課程在学中よりバリ島のサウンドスケープ研究の傍ら、バリ舞踊を始める。同大学院修了後、1995年よりインドネシア政府給費留学生としてバリに留学。帰国後、プロのバリ舞踊家として活動を開始。バリの仮面やガムラン音楽、影絵を駆使しながらも、バリの枠にとらわれずに国内外で様々なジャンルのアーティストたちと公演活動やワークショップを展開。
役者としてもコンテンポラリーの舞台などで活躍。近年では岩手県遠野市の早池峯神楽の舞手としても活動している。
バリガムラン芸能集団「ウロツテノヤ子」、影絵ユニット「ウロツテノヤ子バヤンガンズ」主宰。日本インドネシア芸術文化交流オフィス「ジュクン・ミュージック」代表。
バリ島は世界でも有数の芸能が盛んな土地。数百年前から伝わる古典芸能から新作まで、舞に音楽に芝居に影絵に、ありとあらゆるレパートリーが島のそこかしこで日々上演されています。バリの人々にとって伝統芸能は寝食と同じくらい日常的なものなのです。
バリ島では朝と夕に必ず家のあちこちや門前などにお供えをしなければならないのですが、これは、人々が今でも目に見えない世界の存在との交流の中で生きていることの証。バリ島の芸能も、そうした供物と同じく、目に見えない存在に向けて捧げられるものであり、たとえ人に見せるための公演であったとしても、公演の前には必ず供物と祈りが捧げられ、目に見えないものとの繋がりを忘れることはありません。その繋がりが直接的に現れるとトランス状態を伴う芸能となり、有名なケチャやバロンなどはここから発したもの。
今のバリの人々は当然スマホを使いこなし、車を乗り回す現代的生活を享受しながらも、一方で目に見えない存在との繋がりを忘れず、その中で儀礼祭礼そして芸能が息づいているというのは、世界中が手本とすべきバリ島の姿かもしれません。
1. トランス儀礼を観に集まった人々
2. 影絵を観る人々
3. 寺院祭礼で捧げられるたくさんの供物と、少女たちの奉納舞
4. 奉納舞踊劇を観る、お参りに来た人々
5. 奉納演奏の合間はタバコやスマホの時間