Vol.7 トゥバの音楽
出演:寺田亮平(イギル、ドシプルール、ブザーンチュ、ホムス、喉歌)
2016年12月10日(土)14:00〜15:30
ロシア連邦に属するトゥバ共和国は、テュルク、モンゴルの文化が交錯した音楽の国。毎年トゥバに渡り、トゥバの伝統的な音楽を学ぶ寺田氏がシベリアの遊牧民の音楽を中心に演奏、トゥバの人々の生活や文化をお話しいただきました。馬や牛の装飾のついた弦楽器、口琴、二胡によく似た擦弦楽器、斜めに吹く笛など、さまざまな楽器も登場しました。
寺田亮平 Terada Ryohei
トゥバ音楽演奏家・喉歌歌手。1999年より喉歌を習い始める。国内修行のあと2010年より毎年夏の3ヶ月トゥバ共和国の首都クズルに滞在し、トゥバ第一線の音楽家達と交流しながら滞在修行する生活を続けている。フーメイ、トゥバ語による伝統的な歌の他、伝統楽器イギル、ドシプルール、ブザーンチュ、ホムス、ショールを演奏する。
師匠はモングンオール・オンダ-ル(チルギルチン)他。トゥバ語を理解し、現地の音楽コミュニティーに深く受け入れられた外国人演奏家であり、国際シンポジウム他現地で受賞歴多数。トゥバの伝統的な歌の聞き取りや翻訳作業、トゥバ各地方での撮影等フィールドワークを行う他、日本国内 では中央アジア、シベリア関係のコンサート等も自身で手がけている。
【トゥバについて】
トゥバはアジアの中央部、シベリア南部に位置する共和国。ロシア連邦に属する。人口約30万人。首都はクズル。面積は17万1500㎢(北海道二つ分ほど)。住民の約8割がトゥバ人。公用語はトゥバ語とロシア語。トゥバ語はテュルク語系の言語。宗教はシャマニズムとチベット仏教が盛んである。主な産業は畜産、鉱工業など。山岳地帯、森林、草原、砂漠など自然に変化が富んでおり、羊、トナカイ、ヤク、ラクダなどユーラシア大陸のすべての遊牧形態を見ることができる。現在も遊牧は盛んであるが街に定住しているトゥバ人が多い。
【トゥバの音楽について】
トゥバは小さな共和国であるがその音楽世界は多様である。中でも喉歌フーメイ(хөөмей)が有名で、似たような発声での喉歌がトゥバ以外にもハカス、モンゴル国西部などアルタイ山脈周辺地域に見られるがその起源ははっきりしていない。元々はソロパフォーマンスが主体であったが1980年代以降舞台化が進み数多くのアンサンブルが生まれた。また多くの民族楽器があり口琴も盛んに演奏されている。現在のトゥバはフンフルトゥなど世界的なグループの活躍や伝統音楽のオーケストラの設立、ポップスやロックも盛んであり、音楽的に大変に充実した時期を迎えている。
Morikawa Akikoさんによるレポート(Facebook投稿より)
毎月の恒例ライブ、世界音楽紀行。
今回はトゥバ共和国というロシアにある地域の音楽。演奏者は寺田亮平さん。
今回も魅力的な音楽達と、音楽やトゥバ共和国にまつわる興味深く楽しいうんちくだらけのMCでの、あっという間の2時間でした。
なんでもトゥバ共和国というのはモンゴルの左上に位置する、北海道の2倍程の大きさの、ロシア内の自治区みたいなエリアであり、
内陸であり決してそこまで大きくはない広さの割には地形や気候の変化に富む為、生息してる家畜も北エリアはトナカイ、南エリアはラクダ、山岳地域はヤク、ヤギと羊は全国土、といった感じで、文化もそれに合わせて様々らしいとか、
公用語はトゥバ語とロシア語で、このトゥバ語はトルコ語と通ずる言語であるとか、
文化はモンゴルを始めとする隣接する地域と当然似かよってくるわけですが、信仰されてる宗教の一つにチベット仏教があるとか、
どんなルーツで持ち運ばれたのかが謎な、文化の飛び火についての話が興味深い。
今回のMCは寺田さんご本人の独演ではなく、プレゼンターである寺原太郎さんとのトーク形式であり、寺原さんの溢れんばかりの好奇心と興味に半ば任せた質問攻めのやり取りも楽しく。
演奏は弦楽器、打楽器、笛と、これまたバラエティーに富む楽器の数々に加え、
日本ではホーミーという言われ方で有名な、フーメイという喉で奏でる歌を沢山聴かせて下さいました。
どうも喉歌のコツ・導入は、「母音ベースでお腹を殴られた時に出る『ヴッ…』(←強いて言語化すればこれ??)、とか、トイレでいきんだ時の声みたいな感じで出します」らしいですよ。
しかし異文化でありながらも、今回のトゥバの音楽は、私は違和感なく心地よくすんなりと耳に入ってきました。懐かしいとかいう感覚よりももっと身近というか自然というか。
地球規模で見てみれば、でもまあ中央アジアもご近所さんにはなるから、それは当然でもあるのかな?
それにしても寺田さん、トゥバの民族衣装が大変お似合いで素敵でした。
次回、年明けはスウェーデンへ飛びまして、スウェーデンの次はチベットです。
楽しみ。
楽しい世界の音楽達を地元千葉で聴ける機会を設けて下さった寺原さんご夫妻とギャラリーオアシスさん、ありがとうございました。
また来年も楽しみにしてます。