12月9日 琉球のうた

今年最後の世界音楽紀行は澤井毎里子さんによる沖縄の古典音楽と民謡でした。沖縄民謡には馴染みがあるけれど、琉球古典音楽ははじめてというお客様も多く、毎里子さんの分かりやすく楽しいお話しと、美しい歌声、笛の音に魅了されるひとときとなりました。

プロフィール

 

澤井 毎里子 さわい まりこ 

うた、笛、三線

http://sawaimariko.jp/

 

歌手。琉球古典音楽安冨祖流笛教師。琉球古典音楽奏者。司会者。東京都出身。1997年高松「FMマリノ」パーソナリティ。舞台女優、JAZZ・POPS歌手の経験を活かし、さまざまな表現手法を用いたライブを展開していたが、琉球古典音楽に魅せられ沖縄県立芸術大学に音楽留学。三線、笛の演奏と沖縄の芸能の歴史、文化的背景を総合的に学ぶ。2012年春卒業。沖縄とそのほかの音楽の融合、琉球古典と西洋クラシック音楽の融合、音楽とその他の表現方法の融合など、ジャンルをこえた表現活動がテーマ。
沖縄芝居で50年の伝統を誇る、「劇団うない」(前・乙姫劇団)で地方(笛)を担当。また生演奏付きで絵本の読み聞かせや、沖縄の民話の朗読、また戦争体験の朗読活動を行う。

琉球古典音楽コンクール、八重山古典音楽コンクールでは笛、うた、三線部門で新人賞、最高賞、優秀賞を次々受賞。2012年春 琉球古典音楽安冨祖流笛教師免許取得。2012年冬 八重山古典音楽安室流保存会三線教師免許取得。2013年春 琉球古典音楽安冨祖流三線教師免許取得

歌詞

1.かぎやで風

 

今日の誇らしゃや なほにぎやな譬る

蕾でをる花の 露きやたごと

 

今日の嬉しさは何に例えることができようか。

まるで蕾が朝露を受けてぱっと花開くかのような心持ちだ。

 

 

2.上り口説 

 

旅の出立ち観音堂 千手観音伏拝で

黄金酌取て 立ち別る

 

旅の出発に際し、観音堂に立ち寄り千手観音に旅の安全を伏して拝む。別れの黄金の杯を交わして立ち別れる。

 

袖に降る露押し払ひ 大道松原歩みゆく 

行けば八幡 崇元寺

 

袖に降る露(涙)を押払い、大道の松原を歩み行く。

行けば八幡と崇元寺。

 

美栄地高橋うち渡て 袖を連ねて諸人の 

行くも帰るも 中之橋

 

美栄地高橋を渡って、袖を連ねてたくさんの人が行き帰り

(見送り)する中之橋。

 

沖の側まで親子兄弟 連れて別ゆる旅衣

袖と袖とに 露涙

 

親子兄弟は沖の側まで見送りに来ている。

別れの旅衣に露のような涙。

 

船のとも綱疾く解くと 舟子勇みて真帆引けば 風やや真艫に 午未

 

船のとも綱を急いで解き、乗員が勇んで帆を引けば、

風は船を前に押して出してくれる南南西の風。

 

又も廻り逢ふ御縁とて 招く扇や三重城 

残波岬も 後に見て

 

また必ず巡り合う御縁だと言って、出航した船を三重城から見送る人たちが扇を招くように振る。船は順調に進み残波岬も後にした。

 

伊平屋渡立つ波押し添へて 道の島々見渡せば 七島渡中も 灘安く

 

伊平屋島の沖の波も静かに、奄美の島々を見渡せば、トカラ列島航行も波は平穏だ。

 

燃ゆる煙や硫黄が島 佐多の岬に走い並で エイ あれに見ゆるは御開聞 富士に見まがふ桜島

 

燃える煙は硫黄島のもの。佐多岬を並走してそこに見えるのは開聞岳。富士に見間違えるほど見事な桜島。

 

 

3.浜千鳥

 

旅や浜宿り 草の(ヤレ)葉の枕

寝ても忘らぬ 我親の(ヤレ)我親の御側

 *ちじゅやー千鳥や浜うて ちゅいちゅいな

 

旅に出て浜を宿に草の葉を枕に横になる。そんな夜は、親の側で幸せに過ごしていたことが思い出されて、眠ろうとしても寝ぬることができない。千鳥がちゅいちゅいと鳴いている。

 

旅宿の寝覚め 枕(ヤレ)そば立てて

思出すさ昔 夜半の(ヤレ)夜半のつらさ

 

旅の宿で目が覚めて、枕をそばだてていると、昔のことが思い出される。そのような夜は辛いものだ。

 

渡海やひざめても 照る月(ヤレ)やひとつ

 あまも眺めゆら 今宵の(ヤレ)今宵の空や

 

互いに海を隔てても照る月はひとつ。あの方も眺めているでしょうか。今宵の月を。

 

柴木植てうかば しばし(ヤレ)ばといもれ

 真竹植てうかば 亦も(ヤレ)いもれ偲ば

 

柴木を植えておきますのでしばしばおいでください。真竹を植えておきますので、またもいらしてください。

 

 

4.仲風

 

誠一つの浮世さめ 

のよでい言葉の あはぬおきゆが

 

世の中は誠が一番大切である。誠をこめて話せば、どうしてわかりあえないことがあろうか。

 

 

5.月ぬまぴろーま

 

月ぬ真昼間や やんさ潮ぬ真干り 

夜ぬ真夜中や(ハイヘー)女童ぬ潮時(ハイヘー)

 

月が真昼間のように照らす夜は最大の引き潮。乙女たちが人目を忍んでくる潮時である。

 

月に願立てて 星に夜半参り

思いすとぅ 我と行逢しゆ給り

 

月に願をたてて星に夜半参りをする。命をかけて思っているあの方と私を、どうぞ逢わせてくださいますように。

 

 


Impressions

12月9日(土)世界音楽紀行♪vol.18 琉球のうた (ギャラリーオアシスFacebook ページより)

9日に行われた琉球のうたの様子をご報告致します!
今回も沢山のお客様に足を運んでいただき、感謝いたします。
唄、笛、三線と多彩に披露し会場を盛り上げて下さった奏者の澤井毎里子さん、ありがとうございました。

今回は沖縄の音楽ということで、皆様開催前から楽しみに来てくださった様子です。澤井さんは東京出身ということでしたが、すっかり沖縄に魅せられていて、楽器や琉球文化のお話をしてくださる様子や、演奏の際ナビゲーターの寺原さんに笛のデュエットを面白おかしく無茶振りをする様子は、聞いている側にも澤井さんの楽しい人柄が伝わってきました。うちなーぐち(沖縄方言)クイズも盛り上がりました。

音楽紀行は「ドレミファじゃない音楽」ということで、普段からは親しみの無い世界の曲や楽器を演奏して頂くことが多いのですが、アンコールでは『花(すべての人の心に花を)』(作詞・作曲:喜納昌吉)を演奏して頂きました。
みなさん事前に「イーヤーサーサー」「ハーイーヤ」と合いの手を習い、最後は会場いっぱいに盛り上がる「泣きなさい 笑いなさい いつの日か いつの日か 花を咲かそうよ」のフレーズが澤井さんと皆様の口から紡がれました。

今年の世界音楽紀行はこれにておしまいです。
来年は1月20日(土)に雅楽の演奏がございます。なかなか聴けない豪華な演奏となっておりますのでどうぞお越しくださいませ。
来年も皆様、世界音楽紀行とギャラリーオアシスをよろしくお願いいたします!